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白氏の雑学日記

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2010年 12月 30日

科学技術か科学・技術か

 科学技術か科学・技術かで、学術会議と総合科学技術会議とがバトルをしているそうだ。何をいまさら、どうでも良いのに、と思わずにはいられない。まあ私的には素直に科学技術だと感じるのだが…

 総合科学技術会議(議長・菅直人首相)の調査会で、来年度からの「第4期科学技術基本計画」の草案の説明で、従来案にあった「・」を抜き、「科学技術」としたことが説明されたのだそうだ。科学技術基本法が「科学技術」で統一されている、という、まあどうでも良い理由だったそうだが。
 で、そもそも草案で「・」を使い始めたのは今年1月、日本学術会議の主張がきっかけだったのだそうだ。その理由はかなりうがった意見ではあるのだが…科学と技術は対等のはずなのに、「科学に裏付けられた技術」の意味で使われることが多いと指摘した。政策が「出口志向」、つまり産業や社会に役立つかが重視され、「純粋な学術研究の軽視につながっている」としている。まあ学術会議が言いたがる理屈ではある。
 で、結構有名人がバトルに参加しているようだ。まず一方の科学・技術派。科学史に詳しい東洋英和女学院大学の村上陽一郎学長は、「経済が厳しくなり、税金を投じるからには社会に見返りがあって当然という風潮があまりに強い」と指摘。「研究で得られた知識は人類全体の財産。それを社会で支えることを確認するうえで『科学・技術』という表記には意味がある」のだそうだ。
 別に、点がつこうがつくまいが基礎科学の重要性が損なわれるとは思えないがな~~
 で、科学技術派の方がどうも多そうだし、言っていることもまあまとも。
 元国立環境研究所長の市川惇信さんは、「科学技術という言葉は自然に定着した。切り離せない」と指摘。小惑星探査機「はやぶさ」も、試料分析は科学だが、帰還できたのは技術、という立派な説。
 学術会議会長や東京大学総長を歴任した吉川弘之さんは、「『・』に込めた思いはわかるが、それで問題が解決するとは思えない。科学は社会のためにあるのではない、という主張に受け取られかねない」との意見だ。
 で、この辺の議論に巻き込まれた人ではなく、言語学的にどう考えるかも参考となろう。
 杏林大学の金田一秀穂教授(日本語学)は、日本語は語を構成するとき、前項が後項を修飾するものと、同格で並列するものとがある。「・」は並列関係を明確にするが、そもそも日本語の表記にはなく、並列だからといって、入れないといけないわけでもない。「・」を入れる主張は、正しいかも知れないが、並列だと明言すると、両者が分割されて、縦割りで風通しが悪くなるのではないか、とも思う。
 だそうで、これがやはりまともな意見だろう。こういうことは当事者ではなく第三者の冷静な判断が必要だ。

 しかしどうしてこんなくだらないことで時間をつぶしていられるのだろうか。民主党政権下で、科学技術や学問に対する価値やそしてもちろん予算も評価の対象になっているときに、もっと本質的な議論をするべき時だろうに。やはり功なり名遂げた人たちに将来の学問を議論して頂いてもよろしくないようだ。ここは将来の有望株や少し離れた立場の人たちに冷静かつ客観的にしかし夢を持って学問の在り方や科学技術の進め方について議論してもらいたい。

by misterwhite | 2010-12-30 20:28 | 科学技術


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