2008年 02月 05日
またまた吉川氏の話の続き、これでこのシリーズも一応終了。 「産総研イノベーション上級大学院」のために、この1月から新しい雑誌「Synthesiology-構成学」という査読付きの学術論文誌を発刊した。第2種基礎研究者のオリジナリティを評価するのが目的だそうだ。 そこに投稿し査読を通れば、それをもって卒業のための論文とする。研究者による実習、教授たちの座学も単位とする。それを終えれば本格的な目と、構成的な能力を持ち、さらに学際的に多様な分野の人と話し合える人材が育つのではないか、と吉川氏は考えている。そうなれば、産業において活躍の場もあるだろうし、研究においても主要な研究者になるなど、多様な働きの場が出てくるのであろう。 若い人たちも新しい分野に行けるとなれば、大きな未来を作り上げようという気になろう。企業が、「産総研イノベーション上級大学院」の修了生を採用し、新しい研究人材の流れが作り出されることを期待しているとのこと。 実は既に、第一巻は発刊されており、私はインターネットから、発刊の趣旨や吉川氏の第2種基礎研究と呼ばれるものは何かを説明する内容や研究機関の歴史的回顧、など興味を持った記事をダウンロードして読んでいるところだ。 それによると「本格研究」とは、知識・技術の発見・発明から製品化の間に横たわる「悪夢の時代、死の谷、ダーウィンの海(MOTによれば少しづつ意味が違うが)」を乗り越え、研究成果を迅速に市場へと展開させるもの。未知現象より新たな知識の発見・解明を目指す研究を「第1種基礎研究」、異なる分野の知識を幅広く選択、融合・適用する研究を「第2種基礎研究」と位置づけられ、「第2種基礎研究」を軸に、「第1種基礎研究」から「製品化研究」にいたる連続的な研究を「本格研究」として推進する新たな研究開発方法論を提案している。 経済産業省が提唱したイノベーション・スーパーハイウェイ構想においては、研究と市場との双方向の好循環が必要とされており、その実現のためには研究と市場双方を見渡せる人材の育成・配置が不可欠。また、研究成果を市場化するためには、従来の多様な機能を組み合わせ、ニーズに最適に対応するための組織的な取り組みが必要だという、問題意識から始まったのだそうだ。 その背景には、「基礎研究ただ乗り論」から国家予算の基礎研究へのシフト、海外では逆に知識利用政策による産業振興が進む、と言う反省からその両方をやるべきとの問題意識があるそうな。 で、「第2種基礎研究」の定義は、「異なる領域知識を統合あるいは新知識を創出し、それを使って社会的に認知可能な機能を持つ人工物(ものあるいはサービス)を実現する研究」。第1種と第2種の相違は、従来の分析を主とする自然科学に対する構成(統合、設計)の科学との相違であろうか・・・結局のところ、吉川氏の持論である、一般設計学の確立を産総研で「第2種基礎研究」として焼き直しをしていると言うことか。 明日からは、飲み会、博多、広島(二泊)、ダンス界の最大イベント、札幌(一泊)、と行事が続く。ブログをいつ書けるか心許ない。
by misterwhite
| 2008-02-05 22:57
| 科学技術
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