2015年 01月 08日
気候変動・地球環境問題の特徴は、時間スケールと空間スケールと大きく二つの問題があることである。まず環境影響に時間遅れがあること、そしてまたその時間遅れに大幅な相違があることである。すなわち、たとえここ数十年でCO2排出抑制を実施できたとしても、その濃度安定化には百年程度、またその影響としての気温の安定化には数百年の、さらにその影響としての海面上昇に至っては、数千年に及んでいる。このため、数千年を対象とする科学的分析や百年を対象とする技術開発評価や数十年を対象とする経済分析、そして具体的な政策は政治に左右され1年程度で揺れ動く実態があり、取り扱える時間範囲の相違が大きく、整合性が取れた統一的な対策立案が非常に難しいことが分る。 いずれにしても、今対策しなければ不可逆的な地球レベルの影響が避けられないので、将来世代への責任から世代間倫理(Inter-Generation Ethics)の議論として、事前警戒原則(転ばぬ先の杖原則とも呼ばれる、以前は予防原則と呼ばれていた、Precautionary Principle)に基づく行動あるのみである。事前警戒原則は、と説明され、も取り上げられる。 空間スケールの問題としては、地球全体の問題であり、世界として、地域として、国家として、個々の組織として、そして個々の人間として、何ができるのかを問われていることである。そしてその対策を、整合性を持って制度設計し実現することの難しさである。今検討されている方策は、国別削減目標、京都プロトコル、ポスト京都プロトコルなどのトップダウンアプローチとセクター別削減目標、技術対策などのボトムアップアプローチの両面から検討されているが、これを統一的にまとめあげる努力が望まれる。 いわゆる環境問題は、ある地域において、加害者と被害者が明らかとなる場合が多く、規制、経済政策、自主努力などの対策が比較的有効であった。また、フロン問題は地球規模の政策が成功した例と言われるが、主に電気業界が代替フロンを採用することにより、すなわち技術対策により解決することができた。地球温暖化問題は、加害者と被害者が同じ人間であり、またあらゆる対策が必要とされるので、特に国家レベルでの対策が要求されるので、経済発展と環境対策とのトレードオフで「持続的発展」を実現すべく世界レベルで統一的に対策立案する必要がある。
by misterwhite
| 2015-01-08 11:47
| 環境学
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