2015年 01月 07日
地球温暖化問題は、地球レベルの問題であるため、CO2削減に向けて総ての国が最大限の努力をすべきであることは誰でも簡単に分かることなのだが・・・しかし、現実には先進国と途上国、豊かな国と貧乏な国、資源が豊富な国と過少な国、人口の多い国と少ない国、などの相違があるため、衡平な削減の意味を共通化するのは至難の業である。「共通だが差異ある責任」の言葉は良いのだが、実際の議論ではもめる原因になっている。このため、この分野では様々な視点から衡平性指標が提言されその意味や有効性が議論されている。 様々な機関から多様な衡平性指標が提言されているが、整理すると責任論と能力論と実効性(とコスト)の3種類で、それを細分化すると8項目の指標に分類できそうである。 1.責任(温暖化寄与度、大気への権利) -発展途上国が先進国を責める構図 ・気温上昇への歴史的貢献(排出量) ・一人当たり排出量 -平等論か ・国の絶対排出量 2.能力(支払い能力) -発展途上国と先進国の差異ある責任 ・国内総生産:GDP、 一人当たりGDP ・人間開発指標:HDIと一人当たりGDPの組み合わせ 3.実効性(削減ポテンシャル)‐合理的だが、先進国間の衡平性か ・生産原単位あたり排出量 ・GDP当たり排出量 ‐平等だが、発展途上国間の衡平性か ・限界削減費用 ‐先進国間の衡平性 別の視点として、先進国と発展途上国では目標とすべき指標が異なると言う考え方により、以下のような差別化も提案されており、現実の削減方策決定の際はこの配慮が重要となろう。 1、横軸の衡平性の確保(horizontal): 同じ経済水準の国(先進国等)において、対策によるコストの増加(限界削減費用)を一律化 2.縦軸の衡平性の確保(vertical): 異なる経済水準の国(先進国と途上国間)において、対策によるコストの増加を一人当たりGDPの違いに応じて異なるように設定 これは、指標の分類と言うよりは、衡平性を実現するための方策の分類であるが、このアプローチの相違によっても指標の取り方も異なる。 1.トップダウンアプローチ(国別削減目標、京都プロトコル、ポスト京都プロトコル) 2.ボトムアップアプローチ(セクター別削減目標、技術対策) これをどうやって議論できるかも難しいところではある。これに加え、各国の自助努力だけではなく、途上国支援のあり方の議論も加わるので、各国の利害が交錯する。この辺の考え方はまた書いていきたい。
by misterwhite
| 2015-01-07 21:20
| 環境学
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